2011年10月19日水曜日

2011年10月17日の朝に放送された「あさイチ」 NHKは、二枚舌


10月17日(月)
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メインテーマ放射線大丈夫?日本列島・食卓まるごと調査


出演者
専門家ゲスト:安斎育郎さん(立命館大学名誉教授・放射線防護学) ゲスト:室井佑月さん つるの剛志さん リポーター:小林孝司アナウンサー
福島第一原発事故から7か月たった今でも消えないのが、食への不安。子供を持つ母親を中心に、食への不信感が根強く残っています。そこで「あさイチ」では、「日本列島食卓まるごと調査」と題し、大規模な全国調査に乗り出しました。全国各地のご家庭にご協力いただき、一週間のあいだ食卓に上った食材を、まるごと放射線の検査にかけ細かく分析してみました。すると明らかになった、常識を覆す驚きの数値とは・・・?

食卓まるごと調査とは?

参加者は?

今回調査にご協力いただいたのは全部で7家族です。

福島からは、郡山・須賀川の2家族。

郡山のご家庭は、
地元福島の農家を応援したいと、なるべく地元の野菜を買うようにしています。
しかし、9か月になる赤ちゃんに、本当にこのまま地元の野菜を与え続けて本当に大丈夫なのか、不安が消えません。一方、須賀川の一家は、農家で、家で食べる野菜のほとんどが自家製のもの。ただし、野菜は出荷しておらず、これまで放射線の検査は一度も受けたことがありません。さらに、水も水道ではなく、敷地内からわき出るわき水を使っています。 

東京からは、
2家族が調査に参加。
江戸川区にお住まいの一家は、食品からの被ばくをなるべく減らすため、西日本の食材を食べるようにしています。
もう一家族は目黒から。こちらは、産地は気にせず買い物しています。

そのほか、全国的な広がりを知るため、
札幌(北海道)、岸和田(大阪)、廿日市(広島)のご家族にもご協力いただきました。それぞれ、地元の食品を食べることが多い方々です。地域による差は、出るのでしょうか?

分析のしかたは?

それぞれの家族に一食分余分に食事を作ってもらい、一日分をまとめてミキサーにかけて完全にかき混ぜ、分析用のサンプルを作ってもらいます。それを一週間続けて東京の研究室に送ってもらいました。

分析をしたのは、首都大学東京・福士政広教授研究室です。精密に測定できる「ゲルマニウム半導体検出器」を用い、各サンプル7,200秒かけて分析しました。これは現在通常行われている食品検査より長く、より精度の高い測定ができます。さらに各家庭1サンプルは、30,000秒の追加測定を行いました。

調査の結果は?

今回、放射性セシウムが検出されたのは、7家族中、5家族。それぞれ一週間のうち1日から検出されました。

・札幌 
セシウム134・・・5.69ベクレル/キログラム
・須賀川 
セシウム134・・・3.66ベクレル/キログラム
・江戸川 
セシウム134・・・4.05ベクレル/キログラム
・目黒 
セシウム137・・・8.97ベクレル/キログラム

郡山と廿日市では、今回測った一週間では、放射性セシウムは全く検出されませんでした。
また、水と今年の新米は、各地で別に測定しましたが、今回の調査では放射性セシウムは全く検出されませんでした。

→詳しい分析結果を見る(PDF ※PCのみ) 
<訂正>江戸川で30000秒計測したサンプルは、正しくは9月21日のものです。

分析をしたのは、首都大学東京・福士政広教授研究室。
検査方法については、
『ゲルマニウム半導体検出器を用い、各サンプル7,200秒かけて分析しました。さらに各家庭1サンプルは、30,000秒の追加測定』とありましたので、かなり厳密に行われたと考えられます。

放射線大丈夫?日本列島・食卓まるごと調査|N H K あさイチ
http://www.nhk.or.jp/asaichi/2011/10/17/01.html
放射性物質はほとんどがK-40ですが、これは通常の食品の中に含まれるものです。
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自然放射線の放射性カリウム(K-40)の食品中の含有量
刻み昆布 2,130Bq/kg 
ほしひじき 1,320Bq/kg 黒砂糖 330Bq/kg 茎わかめ 570Bq/kg
ホウレンソウ 222Bq/kg ジャガイモ 135Bq/kg ニンジン 120Bq/kg カボチャ 99Bq/kg
ゴボウ 99Bq/kg 玄米 75Bq/kg ダイコン 72Bq/kg キャベツ 63Bq/kg シイタケ 51Bq/kg
小麦粉 36Bq/kg 白米 8Bq/kg
出典:安斎育郎「家族で語る食卓の放射性汚染」
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カリウムは、岩石に大量に含まれるほか、動植物にとって必要不可欠な元素である。食品中に含まれるカリウム40の濃度はかなり高く、白米1kg中の放射能強度は33ベクレル(Bq)ほどになる。外洋の海水中には1リットルあたり12.1ベクレルが含まれる。カリウムは水に溶けやすくナトリウムと似た性質を持ち、経口摂取するとすみやかに全身に広がる。生物学的半減期は30日とされる。人体が持つ放射線強度は、体重60kgの成人男子で約4000ベクレルである。これによる年間の内部被ばく線量は、0.17ミリシーベルト(mSv)となる[5][6]。天然に存在する放射能の中で内部被曝による線量が大きいものの一つであるが、カリウムの経口摂取量の大小にかかわらず、カリウムの体内量は常に一定に保たれているため、食事による被曝量の変化はない。人工放射性物質の経口摂取量と比較するのは誤りである。人間は体内に常に数千ベクレルの放射性物質を含有しているという事実を理解する。
Wikipedia – カリウム40

続々登場・放射線測定機

自治体が行っている検査だけでなく、民間企業の間にも独自に放射性物質の検査をしようという動きが広がっています。こうした世相を反映し、食品関係の新技術の展示会では、放射性物質の測定機器が多数出展され注目を集めていました。

取材した食品の展示会:食品開発展2011(Hi/S-tec)

2011年10月5日~7日
ホームページ:http://www.hijapan.info/

食品の暫定基準値は大丈夫?

日本では福島第一原発の事故後、食品の暫定基準値が定められました。現在、“暫定”ではない基準値を定めるため、議論が続けられています。

≪食品の暫定基準値≫ 放射性セシウム
・飲料水、牛乳・乳製品・・・200ベクレル
・野菜類、穀類、肉・卵・魚、その他・・・500ベクレル
(1キログラム もしくはリットルあたり)
一方、チェルノブイリ原発事故で国土の多くが汚染されたベラルーシでは、摂取する量に合わせて、品目ごとにきめ細かい基準値が決められています。

この基準値について、ベラルーシで「放射能から人々を守る」ことを目的に設立された民間の研究所の副所長・ウラジーミル・バベンコ氏にインタビューしました。ベラルーシの基準値が、“暫定”でなくなったのは、事故から6年後の1992年のこと。バベンコ氏は、日本でも事故後一年をめどに、日本の食生活に合わせた基準値を設定すべきだと指摘しています。

≪ベラルーシの基準値≫
『自分と子どもを放射能から守るには』より

ウラジーミル・バベンコ氏の著書が日本語訳で出版されています

『自分と子どもを放射能から守るには(日本語版特別編集)』  
ウラジーミル・バベンコ(著)、ベラルーシ・ベルラド放射能安全研究所(著)、今中哲二(監修)、辰巳雅子(翻訳)

NHKの報道(2011年10月17日あさイチ)
映像は人の心や判断を決めるのにとても強い力があります。特に、特定の思想で国民を洗脳するときには映像は大変な武器になるので、歴史的にも多くの重要な場面で政治に利用されてきました。日本ではNHKがもっとも歴史も深く強力な映像を提供していますが、NHKはもともと1920年代に誕生したもので、戦後、今の形になっています。


NHKの設立の目的はまだ日本が貧困で、情報が極端に少なかったので、全国津々浦々に電波を届けるということでした。もちろん、地上波テレビ、BS、CS、ネット、携帯電話、iPhoneなどができた今日、NHKがその設立の目的を失ったのは明らかですが、一度できた組織は簡単には無くなりません。

でも、NHKが「良い番組」を提供してくれれば良いのですが、本来の目的を失った組織が「良い番組」を提供するというのは至難の業で、NHKの番組には理解できないある特徴があります。それは「放送の素人のような内容の番組を作る」ということです。その典型的なものの一つが20111017日の朝に放送された「あさイチ」という番組でした。

番組の内容は福島と福島以外のいくつかのご家庭を選び、そこで1週間にわたって食べた食材のベクレル(汚染度)を測定して放送するというもので、放送の結論としては、1)福島の家庭がもっとも食材の汚染がすくなかった、2)気にすると被曝して気にしないと被曝しない、というものでした。

・・・・・・・・・

この番組は、1)学校で平均値と個別の値の関係を勉強しなかった人、2)因果関係を考えることを知らない人が制作し、3)映像のもつ力を理解していない(もしくは悪意のある)人が指導した、ということになるでしょう。

たとえば、3年A組の平均身長が160センチ、3年B組が165センチとします。でも、A組でも背の高い人は180センチあり、B組でも背の低い人は150センチの人もいます。だから、A組から一人だけ、B組から一人だけを選んで写真を示し、「B組は背が低い」と言ったのとおなじなのが今回のNHKの「あさイチ」です。

福島から一つ、放射線の無いところから一つの例を出して、結論を出すなど言いようの無いほどひどい番組でした。

映像で断面を切り取ることは印象を深くするのに大切ですが、それを示すときには合わせて統計的なデータを示す必要があります。あまりにひどい番組であることはNHKも知っているので、大学の先生を出して「私が先にやりたかった」と言わせるところなど、とても作為的です。このような手法をとれば、集団の一つを選んでなんとでも言えます。
福島の家庭には汚染されていないものを、遠く離れたところのものは福島のものを食べさせたのか、あるいは九州の原発から放射性物質が漏れていると言いたかったのかと考えられます。

次に、「因果関係」を当たらなければなりません。つまり、「汚染された畑からとった野菜がなぜ汚染されていないか?」ということです。すでに学問的には「移行率」、つまりどのぐらい汚染されていたらそれが植物にどのぐらい移るかという研究があるのですから、「汚染されている畑でとれた野菜が汚染されず、汚染されていない土地のものが汚染されている」ということはあり得ません。もし、放送があったように福島の野菜から放射性物質が検出されず、汚染されていない地域から検出されたなら、慎重に調べなければなりませんので放送できないはずです。

また、映像というものを扱うときには、平均値と個別の値、因果関係などを正確に調べ、さらに映像を見る人に間違った印象を与えないように万全の注意をしなければなりません。これは放送法で3条で、{三  報道は事実をまげないですること}と厳しく定められているからです。私もNHKに出たことがあるのですが、放送の前後にかなり厳しく事実関係を調べ、論理の整合性をあたります。もちろん、この番組もしているでしょうから、意図的であることが判ります。

さらに、「気にしていると被曝する」と指定ましたが、このようなことを放送するのはきわめて悪質です。たとえば、台風報道、インフルエンザ報道など危険が迫ってくる場合、「注意すること」が被害を減らすことにつながるからです。これからNHKは台風報道にさいして、「注意しない方が安全です」と言わなければなりません。

以上、この放送はまったくひどい放送で、なんの参考にもなりません。NHKが故意に子供に被曝をさせようとしているとしか解釈のしようがありません。またネットなどに出ている説明ではカリウムの放射線を小数点8桁ぐらいだすなど、専門家が測定した結果ではないことを示しています。これでNHKに受信料を払えといっても無理というものです。

(平成231018日)
                                          武田邦彦







同感です、NHKは、二枚舌である。

分析をしたのは、首都大学東京・福士政広教授研究室

やっぱりラテンだぜ!さんのブログより


 『看護ジャーナル』なる専門誌で、「低線量被ばくの影響」にかかわる記事を書くことになった。そのとき、首都大学東京放射線学科長の福士政広教授を取材する機会があった。
 教授とのやりとりを掲載しようと思う。
 その前に、放射線の主要な学説をおさらいしておく。
1.低線量の被ばくは細胞を活性化させるので健康に良いとするホルミシス
2.低線量被ばくのほうが敏感な細胞突然変異を引き起こすのでむしろ危険だとするECRR放射線リスク欧州委員会)の説。
3.ICRPは100mSv以下での癌リスクは科学的に証明されていないが、放射線防護上はしきい値(影響のある境界値)なしの直線モデルを使い、線量とともにリスクは増える(1Sv=5%。100人に5人)としている。20mSvだと10万人あたり癌に罹患する可能性が増える人数は100人となる。
 なお、言うまでもないが、相手は専門家、私はずぶの素人である。
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★福士教授との対話
福士教授「ECRRホルミシス説は両極端なのでその真ん中のICRP国際放射線防護委員会)の説をとるのがよいと考えます。ICRPIAEA国際原子力機関)のように原子力を推進するための機関ではなく中立ですし、データやエビデンスもたくさんあります。
 でも、ICRPでさえ、最近の知見からは、厳しすぎると言われています。フランスアカデミーしきい値が60-70ミリシーベルトにあるだろうといっています。つまりそれ以下は問題なしです」
風樹「ECRRの2009年の疫学調査がここに持ってきました。低線量でも白血病相関関係があるとなっていますよ。それについては?」
 ブログで紹介しているが、チェルノブイリ妊婦の子宮の内部被曝が胎児1500万人の影響を調査したものだ。対象国は、イングランドギリシアドイツベラルーシの0-1歳児。81年~85年の平常時、86年~87年の内部被曝に晒さされた時代、88年~90年のほぼ平常時を比較している。
 イングランド(UK)は0.02mSv、ドイツは0.1mSv、ギリシア0.2mSV、と、低い線量なのだが、結論から言うと43%も白血病になる寄与率が上がっているので、100ミリシーベルト以下は影響が不明という、国際放射線防護委員会のモデル(ICRP model)は破たんしていると指摘している(なおぼくもこのECRRのデータを全面的に信じているわけではない)
福士教授「このデータはおかしいといっている。もしかしたらバイアスがかかっているのではないかと。ICRPの公式見解では低線量では不都合な事象は認められてない。低線量のほうがむしろ影響があるという彼らのモデルに当てはめるからそうなるんです」
風樹「ICRPのデータそのものも間違っているということはありませんか。とりわけ旧ソ連の国々は?」
福士教授「ベラルーシウクライナヨーロッパがお金を出しているのでデータを国が隠すのはできない状況です。国連も入っていますし。旧ソ連だったらできたかもしれない」
風樹「チェルノブイリの事故は86年の4月です。ソ連の崩壊は91年。その間のデータはどうですか?」
福士教授「それはブラックボックスかもしれません」
風樹「その間のことはわからないわけです。90年頃には、ジャーナリストがずいぶん入って白血病が増えたというレポートがたくさん出ていますが?」
福士教授「なぜ、白血病が? ストロンチウムですか? もしかしたら大量に浴びた人たちがいたのかもしれませんね。でも今の福島リスクが低いですよ。100ミリシーベルトだと癌になる確率は低い。線量が100を超えることはないでしょ。100ミリでも1万人で4%ぐらいが癌になる確率です」
風樹「しかしそれは大人ですよ。子どもの場合はどうですか?」
福士教授「科学的には大人も子供もかわらないですよ。子どもも大人も同じ元素でできているんですから。細胞分裂はどこが多いか知っていますか?」
風樹「さあ」
福士教授「骨髄です。細胞分裂が激しければ影響を受けやすいのです。でも若いと逆にDNAは修復するのが早い。癌になるのは普通年とってからでしょ。マウスの実験とかでも、生まれてからきちんとした生活をさせれば遺伝子の傷が修復されます。癌は放射線だけでなるわけではありません。肥満にならないとかタバコを吸わないとかのほうが大切です」
 40歳と0~9歳の子どもを比べると4倍~10倍も放射線の影響が強いと一般的に言われている。長崎原爆の経験でも子どもは早期に癌を発症している。さらにぼくがICRPのモデルで計算すると、0-9歳時は20ミリシーベルト被曝でも3万人のうち150人が癌で死んでしまう。(感受性を5倍と計算)
福士教授「イランのラムサール、インドケララブラジルのガリバリは放射線が高いけど癌に関して、有為差はありませんよ」
 新聞に出ている放射線の影響図で、世界には高いところもあるというお馴染みの指摘である。
風樹「それは違うのではありませんか? 人間は適応しますから、遺伝子放射能に対して何か強くなっているとか。日本人がそこにいって影響がないとはいえません」
 たとえば、ベネズエラ人の平均体温は37.5度前後。たぶん、体温を高くして細菌を殺しやすくしているのだろう。
福士教授「うーん、そういうことはあるかもしれないね」
風樹「それに労災のがんの認定基準は10年間で累積50mSvです。実際低い値で認定されていますが」
  (これは後に電話で問いただした)
福士教授「うーん、労災では低いんだよね」
福士教授の結論「まあ、100ミリシーベルト以下ではがんになる確率はすごく低い。でも、あなたがならないかというと断定することはできないんだよ」
 最近、福士教授は講演などでは以前とまったく別の話し方をしているらしい。もちろんそれはいいことである。ICRPでさえ厳しすぎると言っていたのが、いくつかの学説をあげて、「どれを信じるのかは人それぞれの自由です」と。
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原発事故が露わにするもの 
 今回の原発事故は、リトマス紙のように、個々の人間の実相を浮き上がらせてしまったのである。それはチェルノブイリの事故のときと同じである。
科学者技術者が単なる技術屋になってしまい、深く広い教養に基づいた倫理観を失ってしまった。文明や技術を生み出したのはドストエフスキートルストイに連なる技術者科学者であったが、新たな世代は、その文明と断絶してしまった」(チェルノブイリからの証言 ユーリー・シチェルバク)




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