2011年11月23日水曜日

原発の本当の発電コストは?    12.23円

【原発の本当の発電コストは?】朝日新聞は「従来の4割高」、

大島堅一立命館大学教授は2.31倍Add Star

以下の朝日新聞の記事によれば
事故費用を入れて原発の発電コストは
「発電量1キロワット時当たり約7.7円」と「従来の4割高」とされています。

従来、
電気事業連合会は「水力11.9円、石油10.7円、原子力5.3円」
としてきましたが、こうしたモデル計算ではなく
実際の実績値に政府からの原子力分野への支出など
(立地自治体への交付金や原子力関係の研究開発費等)と
原発に不可欠の
揚水発電のコストなどを加えて計算した大島堅一立命館大学教授によれば
原子力+揚水12.23円、原子力10.68円、火力9.9円、一般水力3.98円」
と、原発の本当の発電コストは従来の2.31倍となります。
4割高どころか2.31倍です。
原発稼働率机上の空論である80%で計算している時点でアウト
ではないでしょうか?


朝日新聞原発の発電コスト、従来の4割高 政府データ使い試算
http://www.asahi.com/politics/update/1122/TKY201111220721.html

f:id:byebyegenpatsukyoto:20111123050154j:image
f:id:byebyegenpatsukyoto:20111123050927j:image

政府の「エネルギー・環境会議」のコスト等検証委員会の公開データで
原発の発電コストを試算したところ、
発電量1キロワット時当たり約7.7円となり、
2004年の政府試算より約4割高となった。
検証委は12月中に火力など他の発電コストの試算も終え、
来年夏をめどに政府のエネルギー基本方針を見直す。

朝日新聞検証委の委員を含む複数の専門家に試算を依頼した。
試算に使ったデータは
検証委が公開した原発建設費や人件費、燃料費など。
経済産業省資源エネルギー庁が04年に行った試算の条件とほぼそろえ、
原発出力は120万キロワット稼働率が80%、稼働年数は40年などと想定。
原発から出る使用済み核燃料は中間貯蔵後に再処理するとした。

 計算方法は
国際エネルギー機関(IEA)でも一般的に採用されている方法
を使い、
資本費と運転維持費、燃料費の合計を発電電力量で割ってコストを計算
資源エネ庁が04年に試算した原発コストは約5.3円だったが、
今回の試算では物価上昇による建設費の増加などもあり約6.5円になった。

(以下、省略)


東京新聞の2011年4月30日の記事】

f:id:byebyegenpatsukyoto:20111123050631g:image

立命館大教授がコスト試算=

▼ 「原発安くない」

原子力発電は安い?
狭い日本列島に54基もの原発が並ぶ理由の一つが、
1キロワット時当たり5.3円とされる発電費用(コスト)だ。
ところが、
大島堅一・立命館大国際関係学部教授(環境経済学)は
政府の補助などを加えると、二倍以上の10.68円。
福島原発事故の賠償額を論じるまでもなく、高コストだ」
と異論を唱えている。

▼ 公表値の2倍以上

水力11.9円、石油10.7円、原子力5.3円-。
この数字は全国の電力会社十社でつくる電気事業連合会電事連)が、
2004年に公表した電力1キロワットを起こすのに必要な経費だ。
原子力が最も安くなっている。歴代政権と電力会社が、
原発を推進してきた根拠の一つだ。

これに対し大島氏は、
原子力+揚水12.23円、原子力10.68円、火力9.9円、一般水力3.98円-
が本当のコストだという。

 この違いは、
電事連が、新たに発電所を造るとして計算した仮定のコストなのに対し、
大島氏は、実際の費用を計算したためだ。

 電事連によると、
仮のコストを使うのは、どの電源にいくらかかったか、実績値は企業秘密だからだ。
親方日の丸の独占企業に、安全面以外での企業秘密はないだろう!
コメント:nagi wind

 大島氏のほうは、電力各社の有価証券報告書からはじいた数字に、
政府原発を推進するために支出した税金を加えて計算した。
これにより、原子力は一気に10.68円に跳ね上がる。
電事連が言っているコストは、この政府支出分を一部しか含んでいない。

 ▼ 政府の補助 計算に入れず

 税金のうち電源開発促進税は1974年に設けられた。
1キロワット時当たり8.5銭を電気料金に課し、
特別会計に入れられ原発を受け入れた市町村に配った。

 ところが、
86年のチェルノブイリの両事故もあって立地は進まない。
政府は交付対象を、スクールバス、葬儀場など電源開発と無縁の事業にまで広げた

 受け入れた地元は
「全国原子力発電所所在市町村議会」などの全国組織を結成して、
地域振興を政府要望し、
07年度、この特別会計は整理・統合されたが、
税が開発財源となるシステムは維持されたままだ。


 大島氏によると、
1974~2007年度の特別会計は総額10兆5380億円。
うち3分の2、約7兆円が原子力に使われた。
一般会計からも支出がある。
1970~2007年度のエネルギー対策費の総額5兆2148億円の97%、
5兆576億円は原子力関連だ。

 原発には、揚水とバックエンドという固有のコストもある。

 原発は常に一定の発電を保ち、夜は電力が余る。
そこで、山中に巨大な池を造ってポンプで水を揚げ、
昼の需要時に水力発電をする。
これが揚水発電といわれコストがかさむ。

 バックエンドは、
放射性廃棄物の処理や燃料を再利用する核燃料サイクルなど、
発電後にかかるコスト。
政府は04年、18兆円と試算したが、
青森県六ケ所村の再処理施設すらまだ一部が稼働しただけだ。

 大島氏は
原発は単体でも安くない。揚水とセットなら、最も高い。
消費者は財政コストも負担している。
福島原発で予想される巨額の賠償を考慮すると、さらに高くなる。
論議すべき時だ」
と指摘している。


(参考記事:農業協同組合新聞)

福島原発事故から学ぶ】「原発は安い」は破綻!  
大島堅一・立命館大学教授に聞く
http://www.jacom.or.jp/news/2011/07/news110729-14393.php

 原子力発電が日本国内で暗黙のうちに受け入れられてきた背景には
「クリーンで安全」とともに「安い」電力というイメージを多くの人が持ってきた
(持たされてきた)ことがあるのではないだろうか。

 立命館大学の大島堅一教授は、
20年近くにわたって日本の「エネルギー政策とその費用」について研究し、
原発は安い」は破綻していると提起している。
そこで大島教授に取材し、改めて「原発のコスト」について考えてみることにした。

◆実態を反映していない政府の試算

 原子力発電(原発)についてこれまでは
「クリーンで安い電力」でしかも「安全」だといわれてきた。

 しかし3月11日に発生した東日本大震災による地震津波によって、
東電福島第一原発原子炉冷却のための電源すべてを失い、
冷却ができなくなったために原子炉内の温度をコントロールできなくなり、
燃料の温度が急上昇し、
圧力上昇回避のために弁を開放(ベント)したために放射能による汚染が始まり、
さらに炉心の溶融が進行。
12日には1号機が水素爆発し建屋が崩壊。
2号機、3号機も同様の経過をたどり、いまだに終息しないことからも分かるように、
その「安全」神話は完全に崩壊した。

 それでは「原発のコストは安い」というのは本当なのだろうか。

 表1は2004年に政府が発表した発電コストの試算をまとめたもので、
原子力は1kWh当たり5.3円と他の電力より安くなっている。
この5.3円が以後原子力のコストは安い
という根拠として世間に流布されていくことになる。

 大島教授はこの数字は実態を反映していないと2つの理由をあげる。

 1つは、
政府の試算自体がいわゆる「モデルケース」に基づくもので、
実態とは異なることだ。
例えば、表1の「設備利用率」(稼働率)をみると
原子力は「80%」となっている。
しかし、
実際には02年以降、
電力9社全体で原発稼働率が80%以上になったことはなく、
08年には60%にまで下がっている(09年66%、10年67%)。

 大島教授にお目にかかったのは、
京都が梅雨明けしたその日で真夏のよう日差し強い7月9日だったが、
帰りに京都駅で買った「京都新聞」夕刊の1面トップには
原発稼働率6月36%」
と日本原子力産業協会の調査結果を伝える見出しが踊っていた
(同協会の正式発表は12日となっている)。

 表1の政府試算5.3円の基になっているのは
電気事業連合会の「モデル試算による各電源の発電コスト比較」だ。
しかし、この資料では
原発稼働率が60%を割ると石炭火力やLNG火力よりコストが高くなる
と明確に書かれているのだが、
そのことには一切触れられず「5.3円」だけが「エネルギー白書」でも使われ、
原発は安い」の根拠として一人歩きしている。

◆実態は火力より高い発電コスト

 大島教授は、
政府発表データは「モデル」なので、より現実に近いコストを知るために、
年度ごとの「有価証券報告書総覧」で公表されるデータをもとに、
原発をもつ電力9社の電源別発電単価を算出した。
それが図1の実績だ。
この数字は
「いずれも設備の稼働率減価償却などを含めた実態を反映した数字」だ。

 1970年から2007年までの平均をみると
原発は1kWh当たり8.64円で、火力より少し安い程度だといえるが、
大島教授がここで注目したのは、
原発揚水発電の関係」だ。
原発は火力などと異なり出力調整ができないので、
電力需要が下がる夜間でもほぼ100%出力する。
その余剰電力で水を汲み上げておき必要に応じてその水を落下させて発電する
揚水発電が付帯されており、70年以降、原発の発電容量に比例して増えている」
つまり「揚水発電原発の必需品」と考えれば、
発電コストも「原発と揚水を合わせて考えるのが適切」ではないかと大島教授は考えた。

 そうすると、図1の実績の「原子力+揚水」で分かるように10.13円
と火力よりもコスト高になる。

大島堅一・立命館大学教授に聞く  
原発は安い」は破綻! 増え続ける使用済み核燃料再処理費用
http://www.jacom.or.jp/tokusyu/2011/tokusyu110729-14392.php

・実態を反映していない政府の試算
・実態は火力より高い発電コスト
財政支出=国民の税金で成り立つ原発
・使用済み核燃料処理に19兆円もかかる
・さらに増えるバックエンド費用
・12兆円も投資して回収はわずか9000億円?

0 件のコメント:

読書会に爆破予告? 多様性をめぐり分断深まるアメリカの今 2023年6月27日 LGBTQ アメリカ

  読書会に爆破予告? 多様性をめぐり分断深まるアメリカの今 アメリカ各地で広がっている、ある読書会。 子どもたちに多様性への理解を深めてもらいたい。そんな思いから始まりました。 しかし今、こうした読書会が爆破予告や反対デモで、中止に追い込まれる事態が相次いでいるといいます。 い...